今話題のスマート農業って?ICTを活用した次世代の農業とは

雑学
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みなさんは農業と聞いてどのようなイメージを浮かべるでしょうか?

「肉体労働」、「天候に左右される」、「経験や技術が必要」 など。またかつては「3k=きつい・汚い・かっこ悪い」ともいわれていたみたいです。

しかし、最近では農業技術の発展に伴って、農業のあり方が急速に変化しているのです。

そこで、最新の農業モデルとして、今後の成長が期待されるスマート農業について調べてみました。

 




スマート農業って?

 

スマート農業とは、農業にICTを活用する事で、省力化や食の安全性を高め、高品質の農業生産を可能にする新しい農業モデルのことをいいます。

近年、スマート農業は、農業関係者だけでなく他産業関係者や消費者の注目を集めていますが、一体どのような背景があるのでしょうか。

 

 

スマート農業が期待される背景

 

スマート農業が期待される主な背景として、農業従事者の高齢化や減少、農業生産の低下が挙げられます。農林水産省によると、平成28年2月の農業就業人口は192万2000人で、前年より17万5000人減少、平成22年と比較すると68万4000人も減少しています。

また、平成27年の平均年齢は66.4歳と平成7年の59.1歳から上昇しています。そこで、農業の効率と生産性に革命をもたらす新たな農業モデルとして、農林水産省は、2013 年 11月に「スマート農業の実現に向けた研究会」を立ち上げました。

国内農業の活性化を図るために、ICTの活用によって、高い生産技術を持つ農家の技術・ノウハウをデータ化し、農作物の生産性向上や高い付加価値の向上が期待されています。

実際に、農林水産省の発表によると、2015年度のスマート農業の国内市場規模は97億2400万円で、2016年度には110億4800万円、2022年度には331億8600万円まで拡大すると予測しており、スマート農業に寄せる期待は大きいといえます。

 

つまり、スマート農業の実現によって日本の農業が抱えている問題を解決し、さらには農業を魅力ある産業として成長させていくことを期待しているのですね

 

 

スマート農業の将来像

 

スマート農業が目指す将来像とは、一体どのようなものなのでしょうか。

 

① 超省力・大規模生産を実現

自動走行システム等の導入によって、農業機械の夜間走行や高い作業能力を実現。

 

② 作物の能力を最大限に発揮

センサーを利用した計測技術や過去のデータに基づくきめ細やかな栽培(精密農業)により、作物のポテンシャルを最大限に引き出し、多収と高品質を実現。

 

③ きつい作業、危険な作業からの解放

収穫物の積み下ろしなどの重労働をアシストスーツにより軽労化、除草ロボットなどによる作業の自動化

 

④ 誰もが取り組みやすい農業を実現

農業機械のアシスト装置によって、経験の浅いオペレーターでも高精度の作業が可能となるほか、ノウハウをデータ化することで、農業経験の少ない方でも挑戦できる環境の実現。

 

⑤ 消費者・実需者に安心と信頼を提供

クラウドシステムにより、生産の詳しい情報を実需者や消費者にダイレクトにつなげ、安心と信頼を届ける

 

 

スマート農業の課題

 

スマート農業の将来像を見るとメリットが多く、とても魅力的に映ります。

しかし、スマート農業を実現するにあたって様々な課題もあるのです。

 

① コストの問題

スマート農業の普及において、コストが最も大きな課題となると考えられます。

さらに、農業分野におけるICTやロボットの利活用は始まったばかりで、費用対効果の見通しが不透明であったり、経済性を正しく評価する仕組みが整っていないという指摘もあります。また、農業従事者の多くは小規模・零細であり、投資余力は限られています。

こうしたことから、標準化、既存技術・部品の活用等により、開発コストをいかに低く抑えるかが課題となってきそうです。

 

② サポート体制の強化

農業は、他の産業分野と比べて、スマート化が進んでいるとは言えないのが現状です。

様々な機器を使いこなすためのサポート体制や農業分野におけるICT利活用に精通した人材の育成が求められます。

 

③ 標準化

これは農業に限らないのですが、スマート農業を普及させるためには、農業関連データ等の標準化を進め、利便性を高める必要があります。現状では、個々の企業が独自のシステム、独自の規格で導入している事例が多く、今後どのようにして標準化を進めていくかが課題となりそうです。

 

また、農業は他業種に比べて設備導入やデータのストックに時間がかかるほか、スマート農業の必要性を感じていない生産者が多くいるなど、お金や技術だけでは解決できない課題もあります。

 

 

おわりに

 

スマート農業にはたくさんの魅力がある一方、様々な課題も抱えています。

今後は、多角的な視点からスマート農業のあり方を検討し、各農家の現状やニーズに合わせていくことが、スマート農業を普及していくうえで大切だと思います。

農業とICTが組み合わさってできたスマート農業は、農業の再興と発展に貢献できるのか、さらには地域活性化までつながるのか、今後のスマート農業の動向に注目していきたいですね。

 

出典:スマート農業の推進に向けた取組み

出典:スマート農業の推進 ― ICT・ロボット等を活用した農業の取組 ―

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