冷凍野菜と聞くと、「味が劣る」や「生の野菜より栄養が損なわれている」などのイメージを持っている方は多いと思います。
しかし、野菜の栄養価は、生の野菜の栄養とあまり変わらないのです。むしろ、冷凍した方が多く栄養が含まれる野菜さえあるのです。
そこで、冷凍野菜に含まれている栄養価とそれを保つための冷凍技術についてご紹介します。
どうして野菜を冷凍すると栄養がなくなるといわれているの?
家でそのまま冷凍した野菜や食品を解凍すると、ベチャッとなることがあると思います。
それは、冷凍した食品の細胞内の氷が溶けて水になり、傷ついた細胞から水分が流れ出ている状態で、食品本来の旨味や栄養が溶け出してしまっているのです。
そのため、生野菜よりも旨みや栄養がなくなるといわれているのですね。
実は栄養価が高い冷凍野菜
レザーヘッド食物研究所(Letherhead Food Research)と英チェスター大学(University of Chester)が共に発表した論文によると、新鮮なフルーツや野菜より冷凍品の方に多くのビタミンC、ポリフェノール、アントシアニン、ルティン、βカロチンが含まれていることが判明しました。
冷凍野菜と果物の栄養価を生のものと比較してみたところ、3分の2は冷凍の方がビタミンCや抗酸化物質の量が多いことが分かったのです。
例えば、ブロッコリーに含まれるビタミンCは、収穫して1週間たつと約50%減少するのに対し、収穫してすぐに冷凍したブロッコリーは、1年たっても10%近くしか減少しませんでした。
冷凍野菜は生の野菜と比べて劣化するといわれているのは冷凍方法の問題であり、ちゃんとした方法で冷凍するとほとんどのビタミンや抗酸化物質が失われることなく保存することができるのです。
高い栄養価を保つ冷凍方法
ではどのようにして、市販の冷凍野菜が高品質で栄養価の高い状態を保っているのでしょうか?それは、「ブランチング」と「急速冷凍」という冷凍技術を用いているからなのです。
「ブランチング」
「ブランチング」とは、冷凍野菜を作るときの、茹でる、蒸すなどの加熱処理のことをいいます。この処理をすることによって、野菜の酵素や微生物の働きを止め、加工や保存中の変化を防ぐことができます。
多くの市販の冷凍野菜は、冷凍する前にこのブランチング処理がされており、変色や変質を抑え、野菜の鮮度を維持することができるのです。
「急速冷凍」
「急速冷凍」とは、食品を素早く冷やし、品質の良い状態のまま凍結できる冷凍技術のことをいいます。
食品内の水分が凍る温度帯を素早く通過させることで、氷の結晶を小さいまま凍結させることが可能となり、細胞の破壊を防ぎ冷凍前と変わらない状態のまま凍結できるので、おいしさと栄養価を保つことができます。
市販の冷凍食品は、多くが-35℃以下で、「急速冷凍」させていますが、家庭の冷凍庫の温度では、通過するのに時間がかかり、氷の結晶が大きくなるため鮮度を維持するのが難しいのです。
おわりに
冷凍野菜はなんとなく栄養が少ないと思っていた方もいると思いますが、「ブランチング」と「急速冷凍」によって生の野菜と変わらないほどの栄養とおいしさを保っているのですね。
今回紹介した「ブランチング」に関しては、家庭でも簡単に実践することができます。冷凍したい野菜をさっと熱湯にくぐらせてから冷凍すると、食感の大きな変化や変色などを防ぐことができます。
しかし、サラダなど新鮮な状態で食べる野菜やキノコ類は、「ブランチング」に不向きなので生のまま冷凍しましょう。
コメント
冷凍野菜、食感の変化が少ないというのは驚きです!
お惣菜なども冷凍したほうが栄養価が高くなるのでしょうか?
お惣菜のように味をつけ、加熱された食品は、すでに組織が壊れているので冷凍しても品質の低下は少なく、栄養価に関しては冷凍する前とほぼ変わらないようです。